「子どもの権利条例」委員会中間報告 長野

「子どもの権利条例」委員会中間報告 長野
産経新聞 2012年7月25日(水)7時55分配信

 ■知事、健全育成の検討要請

 県の子供施策全般を検討する「子どもの育ちを支えるしくみを考える委員会」(委員長・喜多明人早大教授)は23日、1年間の審議を集約した中間報告を阿部守一知事に提出した。「新たな育ちのしくみを有効に機能させるためにはきちんとした法的な基盤が必要」(喜多委員長)として、知事公約の「子どもの権利条例」制定を施策展開の選択肢とした内容。これに対し阿部知事は、条例に青少年健全育成条例の内容を組み込むことが可能かどうか検討するよう喜多委員長に求めた。

 中間報告の提出にあたって喜多委員長は「子供たちがいじめや暴力の問題に苦しみ、SOSを出さずに我慢している現状が(委員会が実施した)アンケート結果でも明らかになった」と説明。「特に子供の育ちを支えていく行政の主体の側からいうと、子供支援の総合的かつ継続的に支えていく部分が今後の改善点」として、条例制定が必要との認識を示した。

 これに対し阿部知事は、「本県の特殊性として健全育成条例がない。誇るべき部分もあり尊重されなければならないが、未来に向けて他県との違いをどう受け止めて考えていくのか」と問題提起。今後の委員会審議は企画部が進める子供を守るための施策立案と、教育委員会の教員資質向上や教育行政のあり方検討との調整が必要とし、「(権利条例の)次の方向を検討していただきたい。教育委員会でつくる検討会議の座長と委員長が意思疎通してもらうなど横断的な議論を委員会同士で行っていただくことも場合によっては必要かと思う」と求めた。

 喜多委員長は終了後の取材に「健全育成の考え方と子どもの権利条例の考え方は対立する概念ではない。私としては権利条例に処罰規定を入れる考えはないが、長野に一番合った施策の現状を踏まえながら前進させていく視点で考えたい」と述べ、柔軟に対応する考えを示した。

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